三月の言葉

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「雪裡梅華只一枝」(せつりのばいかただいっし)

降りしきる雪のなかで梅の木が枝を伸ばし、

その先には一輪の花が咲きほのかな香りを放っている…。

目に浮かぶような光景、イメージするだけでも素敵な禅語です。

ここでいう「梅の花」とは、「さとり」をあらわすもので、

厳しい寒さ(困難)を乗り越えてこそ、美しい梅花(さとり)が現れるということです。

私たちの日常生活に置き換えれば「悲しみや苦しみ困難なことを乗り越えた時に、

人生の素敵な花を咲かせることができるのだ」とも言えそうです。

でも、この禅語の美しさの源にあるのは、

雪の中にあっても梅が花を咲かせたということ。

厳しい冬が過ぎた時に梅が花を咲かせたのではなく、

雪の中において既に花を咲かせていることが、

「苦しみや困難を乗り越えた時に花が咲く」のではなく、

「苦しみや困難の中にあっても、確かな花を咲かせることができる」と、

私たちを励ましてくれているようにも読み取れます。

日常生活から離れたところにさとりの世界があるのではなく、

この迷いの世界の中に生きていても、真実を得ることができる。

一輪の梅が咲く姿にそんな思いを重ねずにはいられません。